マンガでやさしくわかる経理の仕事
サマリー&レビュー
内容
経理の仕事の概要がまとめられており、ポイントは下記である。
- 経理の仕事は、「財務会計」、「管理会計」、「資金業務」の3つに分かれる
- 財務会計(実績を数値化し現状を把握する)
- 管理会計(会社の将来の方向性を考える)
- 資金業務(資金の流れを管理する)
本書の中では、それぞれの業務内容が紹介されている。
対象者
- 経理の仕事に興味のある人
難易度
- 経理関係の基本的なレベルの用語が用いられている
- 都度用語の概要は説明されているため、特別自分で調べる必要はない
評価
★★☆☆☆(2/5)
- 「経理の仕事がありありと想像できること」まで期待したが、そこまで具体的にはわからなかった
- 表面的な説明ばかりで、突っ込んだ説明があまりない
- 「補足説明」がメインであり、マンガがメインになっておらず、どこが「マンガでまかる」なのか疑問
経理の仕事
経理の仕事は、「財務会計」、「管理会計」、「資金業務」の3つに分かれる。
財務会計と管理会計
財務会計と管理会計の概要を以下の表に示す。
項目 | 財務会計 | 管理会計 |
---|---|---|
目的 | より高度な情報開示 | 利益が出る仕組みの構築 |
概要 | 実績を数値化し現状を把握する | 会社の将来の方向性を考える |
情報の提供先 | 会社の外部 | 会社の内部 |
財務会計
「過去会計」とも呼ばれ、過去から現在までの取引事実をまとめる。
業務内容
各部門の活動結果を受け、仕訳伝票を作成・入力し、月次決算、四半期決算書及び年次決算書をまとめる。
決算書
株主や取引先・銀行などの利害関係者に公開したり、税金を計算するときに使用する。
ルール
決算書の作成は、会計基準や法律によって、ルールが決まっている。
項目 | 概要 |
---|---|
企業会計原則* | 財務会計の基本 |
会社法と会社計算規則 | 決算書の様式 |
金融商品取引法と財務諸表等規則 | 勘定科目の定義や表示 |
法人税法 | 法人税の申告書類 |
*企業会計原則は会計学の最も基本的な事項であり、常に頭に入れておきたい。
スケジュール
決算から株主総会までのスケジュール。
- 決算書の作成
- 総勘定元帳(伝票の仕訳を整理した帳簿)から決算書が作成される
- 監査役・皆生監査人による監査
- 決算書が適正であることを確認
- 取締役会の承認
- 株主総会の招集通知の発送
- 定時株主総会での承認
- 有価証券報告書・税務申告書の作成
管理会計
「未来会計」とも呼ばれ、未来の目標とあるべき姿に近づくために、今日何をすべきかを考える。財務会計のような法律の制限はなく、資金業務のような定型的な業務でもない。
業務内容
会社のトップが経営計画を策定する際に、意思決定の判断材料となる情報を提供する。
- 実現可能性
- 資金的な裏づけ
- 損益に与える影響
- 税務上のメリット・デメリット
- タイミング
中長期計画
中長期計画(3から5年程度の計画)は、会社のトップが策定する。部署としては経営企画部など。管理会計では、いつどのくらい資金繰が必要なのかを見積もり、その資金をどこからどのように調達するのか、利益はどのくらい出て、納税額がどのくらいになるのかなどを試算する。
\[\begin{align} &経営理念 \\\\ \rightarrow &経営目標 \\\\ \rightarrow &長期経営方針 \\\\ \rightarrow &中期経営計画 \\\\ \rightarrow &事業計画・年度予算 \\\\ \rightarrow &月別予算 \\\\ \rightarrow &今週の目標 \\\\ \rightarrow &今日の目標 \end{align}\]予算編成
売上計画と粗利計画を作成する。トップからは高い売上が示され、部門からは低めの売上が示される。経理では両者の乖離を調整した計画を組む。
経営分析
経営分析とは、自社の現状を正しく把握することで、大きく3つに分けられる。いずれの分析も経営者の意思決定のための助言をすることが目的。
項目 | 概要 |
---|---|
財務諸表分析 | 経営状況や財務状態を分析 |
調査報告分析 | 調査会社の結果から実態を分析 |
特殊調査分析 | 買収調査や資本参加などを分析 |
資金業務
資金の流れを管理する。
業務内容
資金的な理由よって、会社の業務に支障がでないようにする。
項目 | 概要 |
---|---|
通常の営業活動にともなう業務 | 受取手形管理、債権の入金管理等 |
資金調達に関する資金業務 | 外部からの資金調達 |
経理の仕事に必要な知識
経理の仕事は専門職とも呼ばれ、それぞれ深い知識が要求される。基本的な知識として、日商簿記2級は取得しておくべき。
- 専門知識(経理実務)
- 簿記論、会計学、財務諸表論、会社法、金融商品取引法、法人税法、消費税法
- 国債会計基準(IFRS)
- 国債会計基準審議会が定めた会計基準で、日本でも任意で使用可能
- 周辺知識(取引理解)
- ファイナンス、コーポレートガバナンス、金融商品、投資形態
- 経営知識(深い理解)
- 経営学、販売管理論、マーケティング、生産管理、経営哲学