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※本ブログの目的と内容1、著作者の方へ2

サマリー&レビュー

内容

経営のための会計学を実践するにあたっての原則が解説されており、ポイントは下記となる。

  • 高い自己資本比率を維持する
  • 「モノまたはお金」と「伝票」は1対1に対応させて処理する
  • 無駄遣いをしない
  • 仕事は細部にわたって完璧に仕上げる
  • ダブルチェックする
  • アメーバ経営により付加価値を高める
  • 経営状況を公開する

対象者

  • 稲盛和夫氏の「7つの会計基本原則」を学びたい人
  • 駆け出し経営者 / 経理(会計)従事者

難易度

  • きちんと理解するためには基礎的な会計知識が必要(本書の中では事前説明等なく会計用語が使用される)
  • 数時間あれば通読できる量

評価

★★★★☆(4/5)

  • 稲盛和夫氏の「7つの会計基本原則」の全容を知ることができる
  • 自分の理解力が劣っているためか、少々ポイントがわかりづらい部分もあったため星を1つ原点

経営哲学

会計と経営

会計は「現代経営の中核」をなす。経営者は、自社の経営の実態を正確に把握したうえで、的確な経営判断を下さなければならない。経営者自身が会計をよく理解し、経営の状況や問題点を浮き彫りとさせる「決算書」を自らの指導で作成させられなければならない。 経営を飛行機操縦に例えると、会計データは、コックピットの計器盤が示す数字に相当する。計器盤の数字の意味するところを手に取るように理解できなければ、本当の経営者とは言えない。

企業の使命

企業の使命は、自由で創意に富んだ活動によって新たな価値を生み出し、人類社会の進歩発展に貢献することである。

経営者の仕事

経営者の最も大事な仕事は、目標数値を決め、みんなのやる気をそれに向かって燃えさせることである。すべての社員から尊敬され「この人のためなら」と心から思われるような経営者となるためには、自らの人格を高める努力を続けていかなくてはならない。

本質追求の原則

物事を判断する際、その本質にさかのぼり、人間としての基本的な「モラル・良心」にもとづいて判断することが重要である。人は、「常識」に強く心を支配され、簡単にとらわれてしまう。

何かを成すには

何かを成そうとするときは、まず心の底から「そうしたい」と思い込まなければならない。

天は自ら助くるものを助く

経営風土・原点・原則

経営の風土は「人の心」をベースにすることが重要である。経営の原点は「売上を最大に、経費を最小に」である。経営の原則は「売上はあらゆる智恵と工夫を使って増やす一方、経費はつねに徹底して切り詰めるようにする」である。

実践的基本原則

経営のための会計学を実践していくために必要な7つの基本原則を説明する。

キャッシュベース経営の原則

キャッシュベースの経営とは、「高い自己資本比率を維持した経営」のことである。下記理由から、自己資本比率とは「企業の安定度を測る指標」なのである。経営者は、「儲かったお金がどこにどのように存在するのか」をよく把握していなければならない。

  • 黒字倒産の事例が示すように、結局信頼できるのは「手元にある自分のお金」
    • 計上の仕方(費用にするのか資産にするのか)によって、会計的には大きく異る
  • 銀行は、本当に困っているときほど頼りにできない
    • 天気の良い日には傘を貸すが、雨が降れば傘は取り上げる
  • 金策に走り回って自転車操業をしているようでは、経営を行っているとは言えない
    • 土俵の真ん中で相撲をとる

一対一対応の原則

一対一対応とは、「モノまたはお金」と「伝票」が1対1に対応して処理されることである。「モノまたはお金」だけ、または「伝票」だけが単独で処理されてしまうことを禁じる。これにより、不正な取引や会計上の数字が操作されてしまうことを防ぐ。この原則を遵守しなければ、信頼に値する会計資料はつくれない。

筋肉質経営の原則

筋肉質経営とは、「無駄な脂肪(無駄遣い)のない経営」を意味する。具体的な例を下記に示す。

  • 中古品で済ませる
    • 最新鋭機の機械が、経営効率を向上させるとは限らない
  • 不良資産を抱えない
    • 価値のないホコリをかぶった在庫は処分する
  • 固定費の増加を警戒する
    • 高い固定費は経営体質を弱体化させる
    • 社員の理解が得られていないと意欲低下につながるので注意が必要
  • 投機しない
    • 額に汗して稼いだものしか利益ではない
  • 当座買いする
    • 必要なときに必要な分だけ揃える。結果としては、これが最も割安になる
    • 安く大量に買っても、余らせてしまったり、乱暴に使ったりしてしまう

完璧主義の原則

曖昧さや妥協を許さず、あらゆる仕事を細部にわたって完璧に仕上げる。経営者であれば、会社のことをマクロからミクロまで完璧に把握する。そうでなければ自由自在に会社を経営することはできない。

タブルチェックの原則

金銭の入出金やモノの持ち出しが絡む部分をダブルチェックする。これにより人と組織の健全性を守る

採算向上の原則

採算向上には「付加価値を高める(価値の高いものをより少ない資源でつくり出す)」必要があり、アメーバ経営によって実現される。

アメーバ経営

各組織が一つの経営主体のように自らの意志により事業展開できる経営のこと。アメーバ同士がともに助け合い、また切磋琢磨し合う結果としてともに発展する。そして、アメーバ間の取引が市場ルールでなされることにより、社内の取引に対しても「生きた市場」の緊張感やダイナミズムを持ち込むことを目的としている。 主役は最小の経費で最大の売上をもたらすよう智恵を絞る「人」の集団であり、焦点があてられるのはそのアメーバが全体として生み出す付加価値である。原価管理部門が標準原価を決め、それに従って製造部門が製造しているようでは、付加価値を最大にすることはできない。なぜなら「付加価値」ではなく「原価」に焦点が当てられてしまっているからである。

ガラス張り経営の原則

全社員へ経営状況を公開する。これにより経営者と社員が固い絆で結ばれ、一致団結できる。一般投資家へのディスクロージャーも徹底する。これにより投資家からの信頼を得られる。「良くない事態」が起きたとしても、勇気を持って真実をありのままに社外へ伝えることで、逆に会社に対する信頼は高まる。

  1. 本ブログは「本を読み、理解した内容の備忘録(自分用)」を目的としている。重要なアイディアを昇華させ、自分の言葉でまとめるように努めている 

  2. 内容に不快を感じ、ブログの取り下げを希望される著作者の方は、個別にご連絡いただけると幸いに思う