Mati Greenspan インタビュー
総評と解説
本ブログの参照元
本ブログは、下記2本のYouTube(Coin Club Japan)動画の視聴備忘録である。「テクニカル分析と短期投資」以降の章は、Mati Greenspan氏の発言を整理した内容となっている。
- ビリオネアの孫でもある世界でも著名な暗号資産アナリストMati Greenspanさんに今後のビットコイン動向について聞いてみた!
- 「レバレッジはかけるな、持ち続けろ」仮想通貨調査会社クオンタム・エコノミクスの創業者の投資理念【Coin Club×Cointelegraph】
※撮影日は2021年10月上旬ごろ
総評と解説
Mati Greenspan氏のことはこの動画を見るまで知らなかったが、この2本の動画を通して彼のファンとなってしまった。彼は幼い頃に「大変な努力を積んで世の中の仕組みを理解できたなら、一日20分の仕事で安定した生活を送れるようになる」と教えられ育ったらしい。「金融相場」という”ゲーム”にのめり込み、そして勝ち残った彼の言動からは、確かに「資本主義(=世の中)の深淵」の一端を垣間見たように感じた。 Mati Greenspan氏はファンダメンタル分析を重視する。テクニカル分析は「結果」を分析する手法であり、ファンダメンタル分析は「原因」を分析する手法である。原因を分析することで「何が起きたらどうなるか」を予測し投資する。しかし「いつ」起こるかの予測は難しいため、「長期投資」することで「そのとき」をじっと待つ投資スタンスを取る。それが最も再現性のある確実な投資法なのだろう。
テクニカル分析と短期投資
テクニカル分析に手を出し、みんな特定のパターンを真似ることでお金を儲けようとする。でも、思った通りにはうまくいかない。数千万円のお金を短期で稼ぐことができるクライアントは本当に一握り。 値動きが荒いときに、Bitcoinのチャートを見てもどこがレンジで、どこが下値か見極めるのはとても難しい。最高値を予測するのは、暗闇でダーツを投げるようなもの。そんなのはできっこない。
ファンダメンタル分析と長期投資
ファンダメンタル分析
ファンダメンタル分析は、今起きていることがどうマーケットに影響しているのか、トレンドは何なのかを理解するのに役立つ。私はファンダメンタル分析に一番注力しており、チャートはときどきしか見ない。 ファンダメンタルズとは、インフレ率は高いのか低いのか、経済の中で大きなリスクは何なのか、アメリカの中央銀行はまもなく利上げをするのか、といったこと。これらのことは全て市場に、特にクリプトの市場に大きな影響を与える。それにも関わらず多くの人はこれらのことに必ずしも関心を持っていない。
長期投資
長期の目線で考えれば考えるほど、より一貫した結果がついてくる。短期でお金を稼ごうとする前に、長期で考えるべき。レバレッジはかけない方がいい。レバレッジをかけていたら、価格が大きく変動したときに強制的に清算され、コインを持ち続けることができない。 私が経済的に自立できたのは、ビットコインといくつかのアルトコインを持ち続けられたおかげなんだ。
時期の予測困難性
金融市場がいつクラッシュするのか、ビットコインがいつ上昇するのか、こういったことは予測できない。予測できるのは「何が起きるのか」であり、「いつ起こるのか」についてはわからないんだ。
暗号資産投資のポイント
じっくりと浸透して一気に広がる
アイディアというのは、最初はじっくりと浸透していき、あるとき一気に広がる。価格の動きでも見て取れるように、最初は本当に少しづつしか動かない。そのときにつかめれば、後の大きな上昇を期待することができる。
分散化
分散化は、大幅にリスクを抑えつつ、トップラインの拡大に貢献する。ポートフォリオに10倍になることが期待される10個のアセットがあったとする。たとえ7つがクラッシュしても、1つでも10倍・20倍になり、他の2つがぼちぼちだったとしたら、それはすごくうまくいっていることになる。成功したアセットが1つあれば、残りの失敗したアセットはどうでもいいんだ。
Bitcoin
Stock to Flowモデルの評価
Stock to Flowモデルは、過去を振り返って見てみれば、常に当てはまるモデルだということがわかった。もし時間を早送りできるなら、仮に今から6ヶ月後に価格がいくらだろうと、ほぼ間違いなくStock to Flowモデルに当てはまる。
供給量不足による価格変動
2013年、2017年の力強い価格上昇は、いずれも何かのきっかけで大きな価格上昇がもたらされたわけではない。デジタルな希少価値に人々が目覚め、みんながビットコインを買いたがり、そして誰も売りたがらなかった。サプライサイドの流動性は危機に陥り、価格は上昇した。もし次にビットコインの価格に大きな変動があるとすれば、そんな状況だろう。
規制とビットコインETF
機関投資家のビットコインへの関心は非常に高いが、実際に投資している割合はかなり低い。「規制の不確かさ」がその理由だ。ビットコインに投資している間にSECに訴えられかねない。大規模な金融機関はそんなトラブルとは関わりたくない。 ビットコインETFが承認されれば機関投資家たちの不安は和らぎ、安心して投資できるようになるだろう。だから間違いなく、ビットコインETFの承認は機関投資家のビットコイン普及につながるだろう。
Stable Coin
規制の必要性
私はステーブルコインを持っていない。ステーブルコインによって得られる報酬のために必要なリスクは、私にとって大きすぎる。未来のためのツールとしての価値は理解している。今のステーブルコインは、実は金融の規制の外にある。私が理解する限り、ステーブルコインは規制の枠組みに入れるべきなんだ。
CBDCの普及
連邦準備制度が介入して中央銀行デジタル通貨を作るやり方ではうまくいかない。民間企業にリードさせること、それこそがアメリカ式のやり方なんだ。イノベーターにイノベーションを起こさせ、政府に規制を敷かせ、それを普及させていくんだ。 USドルが世界中の準備通貨としてのステータスを失わないためにすべきことは、ステーブルコインを規制の枠組みに組み込むことなんだ。
法定通貨の実態
USドルの大部分は中央銀行(FEDレベル)から来ているわけではない。USドルが生まれるのは、例えば誰かがローンを借りたときなんだ。もちろん多少は準備金を保持しているが、ほとんどは何もないところから作り出される。 もし既に銀行が、いわば支店レベルのデータベースを使ってドルを作り出しているならば、彼らにはトークンという形で中央集権的なシステムを通さずに通貨をデジタル化する力があるはずなんだ。 Wells Fargo銀行の1ドルとJP Morganの1ドルはなぜ同じ価値なのか、私には全く理解できない。これは2012年のギリシャ債務危機と同じ構造だ。Wells Fargo銀行が財政上の問題に見舞われ、株価が急落し、破綻に追い込まれたとする。そしれそれは、金融システム全体へと波及する。なぜなら同じUSドルだからだ。これはコンテージョンリスクと呼ばれる。
その他 印象に残った言葉
大変な努力を積んで世の中の仕組みを理解できたなら、一日20分の仕事で安定した生活を送れるようになる ※ユダヤ教の指導者の教え
クリプトはいつも「自分で調べなさい(DYOR)」と言われる。だから自分たちでリサーチしてる